めむろ国語専門塾
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小さな国語塾のつぶやき
走れメロス
太宰治の「走れメロス」をじっくりと読み返してみた。自身の読書の特徴は「読むのが速い」なのだが、今回はじっくりと一語一語味わってみた。「走れメロス」の文章の特徴として①テーマがはっきりしている(言い換えがあちこちあり、分かりやすい)②心象風景が事細かく書かれているので、情景が映像として目に浮かぶ・・・の2点があげられる。だから読んでいて気持ちが盛り上がり、とても楽しい!が、逆に言うならば、テキストやテストの題材として用いる場合に「問」を作りやすいのである。中学2年生のテスト範囲の中で、ほとんどの生徒が「走れメロス」で四苦八苦している。たとえば「おそろしく大きいもの」の言い換えを二つ答える場合、一つ目は数行後の「わけのわからぬ大きな力」とあるのでこれはOK。が、二つ目が次のページ(最終ページ)の「信実」となり、なぜこれが答え?と皆首をかしげている。が、本文全体を通してみるとあちこちに「信実」というキーワードが出ており、実はこれが小説のテーマだと分かる。現役中学生にとっては、きちんと把握するのは難しい部分もかなりあるが、自身にとっては「走れメロス」が「名作」と言われる所以を実感するよいチャンスとなった。
2015/02/15 20:41
「お~なる」「お~する」
中学二年生で敬語にかなり詳しく学ぶ→定期テストに出る→生徒にとって鬼門となる単元。なぜ敬語が難しいか?①一つ一つ覚えなくてはならない(例えば「食べる」の尊敬語は「召し上がる」謙譲語は「いただく」など)。②尊敬語と謙譲語の区別がつきづらいから、両方とも「お~」という表現で始まるから(「お~なる」が尊敬語で、「お~する」が謙譲語)。ではどうするか?謙譲語は自分の動作に対して言うので「する」と表現すると覚えるのが一番だろう。つまり、出だしの「お」は同じでも文末が「する」「します」となると動作の主は自分、つまり謙譲語となる。要するに文末に注意を払うことが大切。例えば「お聞きになって下さい」(「なる」が活用している)「お聞きください」は尊敬語だが、「お聞きしてください」は「する」という言葉が活用した「して」が入っているので謙譲語。とはいえ、とっさに正しい敬語が出てくるようになるまでは・・・何年もかかる。とにもかくも、試験では「~なる」「~する」の違いを覚え、文末に気を付けてほしい。
2015/02/14 03:06
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偽物パターン
「本文に合うものを1つ選べ」あるいは「本文にふさわしくないものを1つ選べ」という問題ではたいてい3択か4択になっている。記号なので適当に選んだ場合でも25パーセントの確率で正解、きちんと読んで明らかに答えにならないものを省いて2つに絞る→正答率50パーセントとなり、記述に比べて生徒にとってはハードルが低そうに思える。が、正答率50パーセントまでもっていきながら残念ながら撃沈というパターンが意外と多い。なぜなら、本当に巧妙に選択肢が作られているから。紛らわしい問題に立ち向かうためには「相手の手の内を知る」のが一番!小学生クラスでは、今週は「偽物パターン」の問いを自分で作ることに挑戦中。正しい答えが前もって書いてあり、それに似たような?紛らわしい解答を本文などを参考にして作るのである。かけ離れすぎてもいけないし、かといって正しい答えを作っていはいけないしと、頭をひねりながらも頑張っている。中学生クラスでは定期テストが終わってから取り組む予定だが、どんな巧妙な偽物回答が飛び出すか楽しみである。と同時にこの訓練を繰り返しすることによって、巧妙な手口を見破れるようになるのである。
2015/02/13 12:58
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説話
「先生、分かれば実は簡単な内容だったんですね。」これは、中学2年生の生徒のセリフ。先日行われた学力テストの古文を一緒に見直した時のこと。①釣りをするものの全くつれない②そんな最中に、犬に追われて逃げてきた狐を助ける③魚の代わりに狐を捕えてお土産にするか迷いつつ、船頭の言葉にしたがい狐を逃がす④直後に大物の魚が釣れ、それは狐の恩返しだと悟る・・・といった内容の話。中学レベルの古文では、説話や物語は大半が起承転結になっており、しかも「動物を助けると、恩返しをしてくれる」といった内容が多い。実際に、生徒にすでに渡している問題集の中にも「亀の恩返し」という話が出てくる。テストや問題として出てくるものではなくても、説話、民話はそういった話が多い。そういう暗黙のルールを知っておくのと知らないのとでは結果に大きく差が出てくる。
2015/02/12 10:44
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建国記念日
日本が建国された日を知っている日本人は2割未満-。若手経営者らでつくる日本青年会議所(日本JC)が11日の建国記念の日を前に、建国に関する意識調査を行ったところ、そんな結果が出た。(産経新聞より)昔は建国記念日には玄関先に日本の国旗を掲げる、といった光景も見られたが今はそういうことも少なくなり・・・。まずは①きちんと「建国記念日」の由来を学んでいない②日本が完全に他国の支配下に置かれ、そこから独立したということがない③記念日を祝うための行事や習慣が特にはない・・・など様々な理由が考えられる。ただ、建国記念日のことを知らないが、日本国を誇りに思うか?に対しては7割以上が「はい」と答えているという。日本の昔からのよい伝統、記念日について小中できちんと学ぶとますます自国に対する意識が高まるのでは?その一つとして中学古文について、少し分かりやすく、文法については簡単でいいから中学生のうちに学ばせることが古文嫌いを減らすことになるのにと思う今日この頃。
2015/02/11 18:04
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コメントありがとうございます。「の」が重要なんですね!勉強になります。学ぶのに遅いということはありませんね!
2015/2/16 13:08 返信
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美しい日本語
ここ2,3日はまっている本は「歌舞伎座の怪人」(二代目中村獅童著)である。若手歌舞伎俳優のエッセイなのだが・・・内容はもちろんのこと「日本語が美しい」ということに引き込まれる。例えば「近松門左衛門は当月二十二日に亡くなられました」「演じさせていただきました」「父三喜雄が永眠したのは・・・」「お怒りを静め、最期までお聞きください」などなど挙げればきりがない。歌舞伎にかかわる先人、自分の身内、世の中の人それぞれに敬意を払い、それを見事な日本語で表現しているのである。一般的には「近松門左衛門は…亡くなりました」「演じました」「父が亡くなったのは」「怒らずに最後まで聞いて下さい」と、とりあえず丁寧語を並べておけば無難だろうといった表現になるのがオチ。私生活はともかくとして、芸に対しての真摯な姿勢が「日本語の美しさ」から伝わってくる。「言葉」に込める気持ち、使い方は大切だと改めて気づかされる一冊。
2015/02/10 02:03
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雷(神なり)
「雷」とは雲と雲との間、あるいは雲と地上との間の放電によって、光と音を発生する自然現象だというのは現代ではは常識。だが、昔は雷は神が鳴らすものと信じられていたため「神鳴り(かみなり)」と呼ばれるようになった。つまり、古文の中で突然「神なり」という言葉が出てきたら…実はそれは「雷」のことを指すのである。また、昔から雷様がへそを取ると言われているが、それにはいくつかの理由がある。その一つとして「雷は木のてっぺんなどの高い所によく落ちるから、雷が鳴っている時は体勢を低くして移動、あるいは地面に伏せていれば大丈夫(へそを隠せば安全、隠さないと雷様にとられる)」と昔の人は経験的に知っていたという説。科学で証明されたものではない、昔の人の生活の知恵、畏敬の念などに思いをはせるとなんだか心が洗われるような気がする。中学生にとってはやっかいな古文、ましてや昔の思想なんて知る由もなく「なんでこんな答えになるの?」と言いたくなるだろう。物事にはそこに至るバックグランドがあることを少しずつ紹介しながら、少しでも楽しく正解にたどり着くようお手伝いしようと日々努力中。
2015/02/09 02:42
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緊張
公立の推薦入試を受ける教え子の自己PR文の添削を以前にさせてもらった。何度もダメだしをして、本人も頑張って何度も何度も書きかえ、学校の先生から「自己アピール文」や「志望動機」などは完璧と太鼓判を押してもらったそうだ。が、面接本番が近付いてきてソワソワと落ち着かない本人。それはそうだろう、そもそも「緊張するな」と言っても無理な話。本人から「先生、どうしても緊張してしまうんです。どうしたらいいでしょうか?」と質問されたので「緊張するのは当たり前、緊張してもいいんだよ。緊張して頭が真っ白になったとしてもきちんと自己推薦文を提出しているし、『緊張してもいいんだ』と3回心の中で唱えるといいよ」と答えた。昔々は「人」という字を掌に3回書いて飲み込むというおまじないが流行ったが・・・・、もっと具体的に現実的な?方法を伝授。完璧を目指すことは素晴らしいが、度が過ぎると体に無理な力が入ってしまい効果が出るどころか失敗することも。以前に書いた「ほどほど→良い加減」を心がけることが、勉強なども長続きするコツだといえる。
2015/02/08 10:01
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しばれ
立春を過ぎたというのに、立春の日から厳しい寒さが続いている。地域によっては最低気温がマイナス30度近くだとか・・・。こういう凍(い)てつく寒さのことを東北、北海道では「しばれる」と表現するということは、小学校4年生か5年生の教科書で習った。ただ、その頃は「しばれる」=「縛れる」と勝手に思い込んでおり「凍(しば)れる」と書くことをつい最近になって知った。最初から漢字表記だと見ただけでどんな状態を指すのかは分かったのだが・・・。なぜ「しばれる」を「縛れる(体を締め付けられるぐらいに寒い)」と思い込んだか?少々言い訳じみるが、当時、関西では「しばく」という言葉が存在したからだ。「しばく」とは①暴行する②行くという意味があり、①の意味と勝手に関連付けたのだ。任侠映画を見ると「しばく」という言葉が結構出てくる、「しばいたろか~」と言った具合に。②については「茶をしばく」=「お茶を飲みに行こう」という使い方をする。とりとめもないことだが、ふと思い出したので書かせていただいた。
2015/02/07 03:14
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新年度
ブログ更新、今日は366号!回数的には昨日でようやく1年~~!我ながら偉いと自画自賛。さて、「今日からまた新しい気持ちで」と張り切っており、早速に新年度のお知らせ。新年度から中学生クラス追加、低学年クラス開講予定(HP時間割参照)、中学生の場合、部活で遅くなる・・・あるいは遠方だけど・・・という方のために金曜日の遅い時間(8時30分~9時20分)を設定した。低学年のうちからきちんとした国語の基礎を!とお考えの方のために木曜日の4時30分~5時20分枠を設定(ただし、2名以上開講)。ご興味のある方は問い合わせフォームから連絡、あるいは直接お電話のほどを。また、知り合いの方などにぜひお知らせいただければ幸い。※4月までにHP時間割変更を!と依頼していたところ、あっという間にHP時間割を変更してくださったMさんにはただただ感謝。この場を借りてお礼を申し上げる。Mさん、楽しく通ってきてくれる生徒さん、送迎をして下さる保護者の方々そして何といってもこのブログを掲載させてくださる東洋印刷さんのおかげでこうして楽しく仕事できることを改めて実感。
2015/02/06 16:46
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