小さな国語塾のつぶやき
「仰げば尊し」「蛍の光」
今日は十勝管内の小学校では卒業式が行われた。今日は6年生の生徒たちが複数、授業を受ける日だったため、卒業式の様子を聞いたり卒業証書を見せてもらい感慨深いものがあった。と同時に今と昔は「卒業式」の様子が全く違うんだなあと改めて感じた。卒業証書授与という基本はもちろん変わらないけれど、今は人気歌手や人気グループの歌を斉唱したりバックグラウンドミュージックとして流されたりするそうだ。ん十年前の卒業式と言えば「仰げば尊し」「蛍の光」を斉唱するのが定番だったけれど今はどの生徒に聞いても「仰げば尊し?ホタルノヒカリ?知りません、聞いたことありません。」とのこと。参考に歌詞を載せておく「仰げば尊し」(歌詞)★「仰げば尊し 我が師の恩 教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ) 思えばいと疾(と)し この年月(としつき) 今こそ別れめ いざさらば(一番) 互(たがい)に睦(むつみ)し 日ごろの恩 別(わか)るる後(のち)にも やよ忘るな 身を立て名をあげ やよ励めよ 今こそ別れめ いざさらば(二番) 朝夕 馴(な)れにし 学びの窓 蛍の灯火(ともしび) 積む白雪(しらゆき) 忘るる間(ま)ぞなき ゆく年月 今こそ別れめ いざさらば(三番)」★ 「蛍の光」(歌詞)「蛍の光 窓の雪 書読む月日 重ねつつ 何時しか年も すぎの戸を 開けてぞ今朝は 別れ行く」(一番のみ掲載)。個人的にはこの二つの歌、両方…とは言わないまでも片方だけでもいいので復活してほしい気分。なぜなら、この歌を具体例として「定型詩」「蛍雪の功」という故事成語について学習できるから。定型詩とは読んで字のごとく決まったリズムを持った詩の形式で「仰げば尊し」は8・6、「蛍の光」は7・5のリズムになっている。また赤字で書いた部分は中国の故事成語「蛍雪の功」から来ている歌詞。「蛍雪の功」は苦労して勉学に励むという意味で「中国の晋の時代に車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)というふたりの若者がいた。二人とも貧しく、夜ともなれば勉強しようにも灯りがない。だから車胤は蛍を集めて蛍の光を灯り代わりにし、孫康のほうは窓辺に寄って降り積もった雪の雪明りを使って勉強した。二人は苦労して勉強した甲斐があって身を立てて出世した」と言う故事から。今や蛍を見つけることが難しい、どんなに貧しくて自宅に電気がつかなくても一歩外に出ると明るい光・・・歌、歌詞共に時代錯誤と言われればそれまでだが、少なくとも「定型」を守る姿勢、苦労して勉強する姿勢は学び、引き継ぎたいものだ。
2018/03/23 22:47
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