小さな国語塾のつぶやき
「○○臭い(くさい)」
日本語は本当に難しい!とつくづく感じる。今更何を?と思われるかもしれないけれど・・・・。先ほど車内でラジオを何気に聞いていたところ、某高校生が春の高校野球に向けての抱負綴っており、それをアナウンサーが音読していた。その中に「泥臭い練習を重ねて。。。」と言う表現があり、思わず考え込んだ。そもそもが「泥臭い」と言う言葉の意味は「野暮ったい、みっともない、あか抜けていない」なのだが、高校生が「泥臭い」という言葉を使うと「野暮ったい、みっともない、あか抜けていない」という悪い意味よりも「実直に、コツコツと」といういい意味のニュアンスに代わるよなああああと思いながらラジオを聞いたのだ。誰がどんな場面でその言葉を使うかによって意味が全く違ってくる、しかも時代と共に意味が変化していくのが日本語の特徴だということを改めて実感した次第。「泥臭い」と似たような意味で「鈍くさい」という言葉があるけれど、こちらは「実直に、コツコツと」という意味ではあまり使わないような気がするのは自分だけか?そういえば「○○臭い(くさい)」という言葉が日本語には数多くある。「辛気臭い」「青臭い」「面倒臭い」「胡散臭い」「水臭い」などなど。。。ちなみにこれらを見ると分かるように「臭い(くさい)」は「匂いがする」と言う意味よりも「~らしい、~ぽい」という意味で使われている。例えば「水臭い」は「よそよそしい」「他人行儀だ」という意味で、語源は「お料理では水分が多くて味が薄い、水っぽいとなる。水分が多いと味が薄く味気なくなる。」このことを比喩的に「愛情が薄い、人情が薄い」と、人に対して使ったのが「水臭い」という表現となる。実は以前は「水臭い」☞「水が腐って嫌なにおいを発する」、「泥臭い」☞「泥のようなにおいがする」☞「泥まみれになって、においが体につきながらも頑張る様子」だと勝手に想像していた。刑事物語や推理小説において刑事や探偵が「うーん、何かにおう。」というのも勿論、実際に何かの香りがするわけではなく「胡散臭い、怪しい」という意味だということは分かってはいたけれど「臭い(くさい)」が「~らしい、ぽい」と言う意味があること、正しい語源などを知ると「なるほど、この使い方は間違っていないんだ~」と腑に落ちることが多い。日本語は難しいけれど、一つのことを知ると派生的に多くの言葉についても知ったり納得することが多く、やはり楽しいなあと思う。さて、最近の自分は。。。。「面倒臭い」と言う気持ちがフツフツとわいている状態だけれど高校男児を見習って「泥臭く」(実直に)」目の前のことをコツコツとこなそうっと。
2018/03/12 13:29
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