小さな国語塾のつぶやき
「窮すれば・・・」
世界各国で共通の似たような諺や慣用句が存在し、日本語の中でも似たような意味の慣用句や諺が多い。さて、今日は意味が似ているのではなく「表現」が似ているけれど意味が全く違うという慣用句を2つ紹介する。①「窮すれば通ず(きゅうすればつうず)」(意味)事態が行き詰まって困りきると、かえって思いがけない活路が開けてくるものである。②「窮すれば鈍する(きゅうすればどんする)」(意味)貧乏すると頭の切れる人でも愚かになる。貧乏すると生活に追われて、どんな人でもさもしい心を持つようになる「貧すれば鈍する(ひんすればどんする)」ともいう。前半の「窮すれば」は同じだが後半の表現が少し違うだけで意味が全く違うので自分自身や身近な人に対して使うときは注意が必要。身近な人が行き詰っているときに「窮すれば通ず」と声をかけるのはOKだけれど、まかり間違っても「窮すれば鈍する」とは口が裂けても言えない(苦笑)。この慣用句はともに真理を突いていると感じ、窮したときに思いがけない活路が開けて上昇するタイプと逆にどんどん卑屈になっていき心まで貧しくなってしまうというタイプが存在する。しかも誰しもがそのどちらのタイプになりうる、自分は絶対に前半だけ!ということは少ないだろう。下手すると、窮したときに「これぞ新しい活路だ!」と張り切ったもののますます事態が悪化して・・・とうとう心まで貧しくなってしまうということも無きにしも非ず。☜実際にそういうパターンを見聞きしたことが数知れず。では、どうすれば①「窮すれば通ず」になるか?明確な答えなんてない!あったら逆に教えてほしいぐらいだけれど・・・。ただ、自分自身が「窮したときに」には「命まではとられない、また一からやり直そう」と言い聞かせ「冷静に」「冷静に」と呪文のように唱えている。☜果たして効果のほどはいかに?!少なくともピンチになったときは「窮すれば通ず」と信じてただただ一歩ずつ一歩ずつ「それでも前へ」と歩いている。先にも書いたが、くれぐれも「窮すれば通ず」と「窮すれば鈍する」の使い方や使う場面を間違えないことを肝に銘じておく必要あり。
2018/03/05 11:55
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